欲は善(Greed is good)
玄関で飼っているスズムシが元気よく鳴いている。
もらってきた時は小さなゴキブリの赤ちゃんのようだったが、鰹節やナスなどをモリモリ食べて、みるみる間に大きくなり、オスは美しい音で鳴き、メスは ”ぷっくり” と立派な体格になった。
オスのスズムシが鳴くのは、メスを呼び寄せ自らの遺伝子を残そうとする欲求であり、メスが栄養を蓄えるのも、丈夫な卵を残そうとする欲求である。
今年は数が少ないと言われているらしいセミが、それでもうるさいほど元気に鳴いているのも同様の理由である。
考えてみると、他の生き物が生きて行くのと同様、人間が生きて行くのも、その原動力は「欲」なのかもしれないと思う。人間は他の生き物よりもすこし複雑なだけで。
生存欲求はもちろん、自分が成長したいと願うのも、地位を求めるのも、よりよい環境をつくろうとするのも、賞賛されたい、愛されたいと思うのも、何かを創りたいと思うことも、さらには、誰かのために貢献したいと思うことも、すべて「欲」なのだと思う。
そして、それが今の文明社会を築いていきたのだ。
一般的に「欲」という言葉のイメージはあまり良くない。
「欲深い」とか「強欲」とか言われる。
人に迷惑をかけるような「欲」ではその通りであろうが、建設的で「正しい欲(という言葉があるか知らないが)」であれば、それこそが人間が生きる推進力となり、未来を切り拓いていくのではないかと改めて考える。
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さて、タイトルの言葉 ”欲は善(Greed is good)” は、映画「ウォール街」の中で登場する言葉である。
マイケル・ダグラス扮する金融界の大物、ゴードン・ゲッコーが、株の買い占めを進めた、テルダー製紙という会社の株主総会に乗り込み演説するシーンで出てくる。
この言葉は、1980年代に名を馳せた、実在の大物投資家で、映画のゴードン・ゲッコーのモデルとなった、アイヴァン・ボウスキー(Ivan Boesky)のカリフォルニア大学バークレー校でのスピーチ
I think greed is healthy. You can be greedy and still feel good about yourself.
を基にしているのだが、ここでのマイケル・ダグラスの演技は秀逸である。
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忘れないでください
言葉は悪いかもしれませんが
”欲”は善です
”欲”は正しい
”欲”は導く
”欲”は物事を明確にし
道を開き
発展の精神を磨き上げます
”欲”には いろいろあります
生命欲 金銭欲 愛欲 知識欲
人類進歩の推進力です
”欲”こそ・・・
見てて下さい
テルダー製紙だけでなく
”株式会社 USA”を
立て直す力です!
(戸田奈津子さん翻訳の字幕から)
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このシーンは、映画の主題として重要なシーンでもあり、演じるマイケル・ダグラスの、株主を魅了するスピーチ、そして意図したのかどうかさえも分からない、ほんの微かな胡散臭さも素晴らしかった。
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今、この国の若者は、その欲望のエネルギーが小さくなってきているように感じる。
無気力、無感動、無関心と評されていた昔よりも、さらにエネルギーが弱くなっているように感じる。
それが、この国自体のエネルギーを喪失している原因なのだろうか。
日本は元気がなくても、BRICsやVISTAに代表される、新興国は欲望とエネルギーに溢れているように見える。
グローバルな世界では、エネルギーが小さな国は、大きな欲望とエネルギーに容赦なく飲み込まれていく。
頑張れ日本の若者。
と同時に、欲が薄くなってきた自分自身にも言い聞かせることにする。


